がんに罹患してみないと分からない

私が乳がんに罹患し、手術と放射線治療を開始した時、
手術が怖いとか、治療が大変だとか考えることはなく、
ただただ、仕事とその後の生活の心配だけでした。

なので、放射線治療の副作用があった時には、多少困りました。

放射線治療に副作用があるなんて、思いもしませんでしたから。

肌が焼けるのは、どうってことはないのですが、
全身の倦怠感と鼻血には、ほとほと困りました。

自分の意思ではなく出る鼻血が、これまた止まりにくく、
外出先で出たらどうしようかと、外出時に鼻がむずむずしたら、
ドキドキしたものです。

そして、放射線治療で患部の血管がもろくなったらしく、
ちょっとした衝撃で、血管からじわじわと血が出てて、
それが患部に溜まり、抜いてもらうも血が止まらないということがありました。

幸いと言うか、働いていなかったので良いのですが、
働き始めてからも、血を抜いてもらうために通院し、時間を取られるのは
ちょっと困りました。

しかも、倦怠感で体はだるくて動くのが大変で、
その当時は、気力で保っていましたが、何かガッカリすることがあると、
とたんに凹んでしまいました。

そんなこんなを、知人に話した時、
『軽い乳がんだったんでしょ。私の会社にも乳がんの手術した人がいるけれど、
重いものは持つし、普通にシフトにはいって、手術前と同じように勤務してるよ。

だから、そんなに副作用が出るとは思えないし、大変と感じるのは気の持ちようでしょ』

と言っていました。

その時に私は、

「人によって症状や副作用はそれぞれだから、
その人は、幸いにも副作用が少なかったのかも知れないけれど、
もしかしたら、周りに迷惑をかけちゃいけないと思って我慢しているのかも知れないよ」

と返事をしたのですが、それ以来、子宮体がんに罹患してからも
彼女とは病気の話はしないようになりました。

 

そんな経緯があった知人が、今度、乳がんの手術をするそうです。

幸い2センチ以下で見つかったので、手術前に抗がん剤治療をすることはなく、
手術と放射線治療の予定なんだそうですが、
今、全摘にしようか温存にしようか、放射線治療の副作用は辛いのかなど、
悩んでいるそうです。

そして、副作用などが不安で怖いんだそうです。

だから、放射線治療ってどんな感じ?とか、副作用ってどんな症状がでるの?と
連絡がありました。

 

一瞬、気の持ちようって言ってたじゃない?って思ったのですが、
仕方ないですよね。
そんなもんですよね。

自分の身に起きないと分からないものですね。

「放射線治療の副作用が心配なら、全摘にして放射線受けないで再建したら?
健康保険適用できる再建があるし、そのほうが、胸も綺麗になるかもよ。
私も、温存じゃなくて全摘にして再建しようか迷ったことがあったから」

なんて、心のこもらない返答をしてしまって自己嫌悪です。

でも、全摘をしようかも?と思っているのなら、
私はそのほうが良いような気がするので、嘘ではありません。

 

彼女がどんな選択をするのか分からないし、
もしかしたら、治療などで辛い思いをすることもあるのかも知れませんが、
できるだけ、心穏やかに治療ができるように、もし私が必要であれば、
これからも話を聞かせてもらいたいと思います。

 

がんに罹患する人が珍しくない世の中ですが、治療方法は日進月歩で進んでいるし、
治る可能性も増えています。

でも、そのせいで生活が変わってしまったり、不自由を感じる人がいるのは、
なかなか変わらない気がします。

がんなんて、この世の中から無くなればいいのに。

病気などで苦しむ人が少ない世の中になりますように。