障害者の法定雇用率水増しって悲しいね

国が障がい者雇用率を水増ししていたというニュースに
驚きと呆れたという思いがある一方、ありえるだろうなって冷静に感じられます。

障がい者の法定雇用率制度とは、障害者雇用促進法に基づき、
身体障害者、知的障害者、精神障害者を、決められた割合以上の人数を雇用してくださいねと
義務付けられている制度です。

対象労働者数が決められていますが、各企業や団体の法定雇用率は、
民間企業       ・・・ 2.2%

特殊法人・独立行政法人は・・ 2.5%

国・地方公共団体    ・・・2.5%

都道府県等の教育委員会 ・・・2.4%

です。

この法定雇用率に満たなかった場合、不足する人数に応じて、
障害者雇用納付金の支払い義務が発生します。

でも、納付金を支払ったとしても障がい者の雇用義務を免除される訳ではありません。

 

私がずっと障がい者枠で就職活動をしてきて思ったのは、
障がい者を雇いたくないけれど、納付金は払いたくないし、
障がい者雇用率を達成できていない企業ととらえられるのも嫌だから、
仕方なく雇ってやっていると思っているような企業が多いってことです。

もちろん、そんな企業ばかりではなく、障害があってもなくても、
一緒に働いて会社を盛り上げていきましょうと思っている企業も多いです。

それでも、当然かも知れませんが、どんな企業でも、
なるべく障害の程度が軽くて心身とも健康で、能力の高い人を望みます。

障がい者と一口に言っても、障がいの種類はイロイロで、
何が苦手で、何が得意なのかは、人によって様々。

そんな人たちを雇用するにあたっての仕事を準備しようにも、
自分の会社の業務や知識が充分ではない人には、
何の仕事が良いのか分からないし、「じゃあ、とりあえず、掃除をしてもらおう」
「シュレッダーをしてもらおう」というところから始まる企業が多く、
そんな業務がない企業や団体は、障がい者の雇用に躊躇してしまうのでしょう。

障害がある人に出会ったことない人などは、障がい者と聞いただけで身構えてしまい、
どう接して良いのか分からなく、面倒くさくなってしまうんでしょうね。

また、直接、雇用率達成に頭を悩ませている人事担当者と、
実際に受け入れる現場の人との間にも、意識の違いが大きいように思います。

合理的配慮と言われても、どんな配慮をすれば良いのか分からず、
しかも、障がい者はちゃんと働けないと思っているので、
現場では自分たちの部署には来てほしくないと思い、
いくら人事に頼まれても「必要ない」と言ってしまうのではないでしょうか。

特に、精神障害や発達障害に対しての風当たりは強いように感じます。

 

私が障がい者枠で面接を受けさせてもらえた時にも
「ちゃんと仕事をする障がい者が欲しいんです」「毎日ちゃんと出勤してくれればいい」
「何かあった時のために、支援員さんが付いていることが条件」など、
それって何?と思うことを言われたことが多々あります。

障がい者は仕事が出来ないと思っている?
何かあった時のためって何?
ちゃんと出勤…って?

もしかしたら、配慮への心づもりなのかも知れませんが、
そんな言葉を聞くたびに凹んできます。

障がい者って、「ちょっと不自由なところがあるんですよ」ってことを
公表しているだけであって、配慮とか大げさでなくても、
当たり前の気遣いで良い人がたくさんいます。

手の痛い人に、荷物の持ち運びなどしてもらおうと思わないし、
逆に手伝いたくなると思うし、心身の具合の悪い人には休憩してもらう、
その頻度が高ければ、休憩してもらっている間のフォロー体制を考えるなど、
通常のことだと思います。

だから、障がい者を雇用して支援するって意識よりも、
一緒に協力して働く仲間として考えて欲しいと思うんです。
 

私の場合は、再就職できるような年齢ではないので仕方ないのですが、
もの凄く能力が高い人がたくさんいらっしゃるのに、
その特性を活かした業務が分からないばかりに、
障がい者は能力がないとか長く働けないなどの思い込みで、
雇用してもらえないなんて、理不尽だなって思います。

障がいがあるだけで、社会で働くことができない人が多い中、
水増しされた障がい者枠に入れたかも知れない人が、
法定雇用率に達したと偽装され、求人がなくなったことで、
働けなくなった可能性もあります。

国は法定雇用率に達しなかったら、偽装するのではなく、
どうしたら達成できたのか、どんな働き方をしてもらうのが良いのかなどの
障がい者雇用の在り方を、もっと真剣に見直し、
障害があってもなくても働きやすい職場の見本となるべく
努力する姿を見せてくれれば、国に対するガッカリ感も少なかったと思います。

 

どんな障害や病気があっても、社会に居心地の良い場所がたくさんできますように。